小さな事件
赤いランドセルに黄色いカバーをつけた一年生
ちょっとお転婆のミヨちゃんは
その低音とクリクリお目めで人気もの
男の子たちと登校中、
急に群れから抜け出し、駆け出した
みな慌てて追いかけ、数人の足が絡んだ
「危ないな」と思う間もなく、
ミヨちゃんの靴が滑って、前のめりに転んだ
膝小僧を擦りむいて血が出てきた
みな心配そうに取り巻いて
ハンカチを差し出したり、しゃがんでさすっている
ミヨちゃんは立ち上がったけれど、べそをかいている
「傷口に触らないで、早く保健室に行きなさい」と言うと、
「先生に話す」と、二人が走り出す
いつも一緒にいる眼鏡の子が「頼むぜ ボクはミヨちゃんを守る」と頼もしい
でもしばらくして、ミヨちゃんたちは排水溝を覗き込み石を蹴飛ばし始めた
通りかかったおばさんが、自転車で子どもたちを追い立てて行った
翌朝、顔にも赤チンをつけたミヨちゃんが
夏風の中を一連隊率いて登校してきた
「オハヨーございます」と言いざま黄色い旗を掴んで走り去ろうとする
選者評
「こういう女の子いますね。」
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