大学院授業「科学と文化」に向けて

31 7月

http://wired.jp/2013/06/11/collegeclass-english/

私は、研究者としてのキャリアを素粒子物理から始めた。

多分、阪大にいた30代に隣接する原子核、宇宙物理と境なく考えることができ、言わば相対化することができたと思う、論文も宇宙物理のものが多くなった。広大理論研からの40代には物理の全分野を相対化したと自覚し、量子情報にも興味を持つようになった。東工大に行ってからは、それと平行して、物理自体を自然科学の中で相対化することを努力した。数学には以前から尊敬の念を持っていて、生物学は好きだったので問題はなかった。しかし、化学と地学については、私の狭い偏見のために学内で悶着まで引き起こした。それも

複雑な系の多様性を重要性が理解できる程成熟して50代で克服した、と思う。(それと55歳で理学部長になったことは関係がない)定年が射程に入ったときに、自然科学を文化の中で相対化することを残りの人生の大目標にしようと思った。

「我孫子サイエンスカフェ」のABOUT USにその志を英語で書いてある。

このほど、偶然にも東工大大学院の「教養科目」を担当する事になり、躊躇う事なく「科学と文化」を選んだ。同時に、かねてから標榜していた対話型授業を実践するつもりである。

今年度は、12月はじめに

  • 科学・技術と母国語
  • 科学・技術と歴史

について、議論をしながらの授業を開講する。

最近ミラノ工科大学で起きた、授業の英語化についての裁判沙汰も参考にする。http://wired.jp/2013/06/11/collegeclass-english/

 

シラバスは以下の通り

講義タイトル:科学・技術と文化(細谷 暁夫)  (日本語開講)

 

単位数 講義:0 演習:0 実験:1/ 講義コード:xxxxx

更新日:2015年 月 日 アクセス指標:     後期

 

/講義概要/

科学・技術と文化について、幾つかのテーマを取り上げ、グループ討論形式で内容を深める。

今回は、科学者・技術者にとって、日本語の役割とはなにか、歴史の意味とはなにかをとりあげる。

(人数制限:5人x6テーブル=30人、使用言語:日本語)

/講義の目的/

言語は単なるコミュニケーションの手段ではなく、思考と根源的に関わる。人は深くものを考えるときには、母国語で考えている。日本は、母国語で大学院レベルの教育ができる国は数少ない国の一つである。それは、明治の初めに、西周たちが欧米の学術用語をほぼすべて日本語に訳して、日本語の語彙の中に取り込んだお陰とも言える。一方、その負の側面として英語が不得意という面もある。

そのことの功罪を徹底討論したい。

欧米の知識人と懇談すると、歴史の話題が実に多い。彼らにとって、歴史は教養の最たるものなのだろう。そのときに歴史は事実の羅列ではなく、時間空間的に縦横に話題を選び歴史観を展開される。

そもそも、「歴史とは何か?」歴史は現在の観点で書かれるべきなのか、それともその当時の人の目線で語られるべきかを徹底議論したい。また、科学・技術の世界史的な位置づけはどうなのか、これから何処に行くか、学生の考えを引き出したい。

/講義計画/

前半の3コマを「科学と母国語」として、対話形式で授業を進め、毎回レジュメを提出させる。

後半の3コマを「科学と歴史」として同様の授業をする。

最後の1コマを総合討論とする。

形式は、アクティブラーニング設備(ネット環境は必須)を使い,パソコンは持ち込み、5人で1つのテーブルを囲む。

はじめの15分で担当教員がテーマを述べ,5分程質疑応答ののちに20分のグループ討論をおこなう。次の20分でそれぞれのテーブルでのまとめを代表にプレゼンさせ、質疑応答。残りの時間で

各自レジュメをA41枚にまとめる。かなりの負荷をかけて徹底的に考えさせる。

それらを、エッセイにまとめて最後に提出させる。

/教科書・参考書等/ E.H. カー著「歴史とは何か」(岩波)、松尾義之著「日本語の科学が世界を変える」(筑摩)

/関連科目・履修の条件等/

【関連科目】:他キャリア科目

【履修の条件等】: なし

 

 

/成績評価/

講義出席、課題提出 による

 

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