旗ふりおじさん科学者になる、もう一度

11 6月

yellow flag「抒情文芸」159号に入選しました。

旗ふりおじさん

ミヨちゃんはしっかり者の2年生

梅の花咲くパンダコースから

「おじさん、待って」と息を切らして走って来る

「今日は早いね」

「おじさん、子供のころ何になりたかった?」

「うーん」

春風が横丁を過ぎていく

「科学者かな」

「ふーん。それでどうして旗ふりおじさんになっちゃったの?」

「・・・」

隙見て旗の棒を掴んで

替わりに傘を持って、と言う

黄色い旗を高く右と左に振りながら

胸張って私の前を歩く

「実はもう・・」

春風が微かにわたる

「ストップ」とミヨちゃんが叫び

旗を横にして通せんぼ

椿のぼんぼりが続くコアラコース

三毛猫の家のところで

庭に飛び込むのはいつものこと

猫は眩い朝日に目をつぶり

だらりと下がり背伸び体操

カヨちゃんと合流し

ようやく横断歩道を渡り

透き通る青空の坂道を

後ろ向きに登りながら

「科学者になんなよ!」と手を振る

「・・・」

大きな辛夷の樹に

満開の花がそよ風に揺らぐ

そうだね、もう一度なってみるか

「おはようございます」「猫なんか関係ないや」

元気な声がして1年生6人組が

もつれ合いながらがやって来た

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