凧を揚げる爺たち
土手の上に立つ
河川敷の広がる向こうに
利根川がゆっくり東に流れ、川面が光る
左手に少年サッカー場、誰もいない
右手にキャンプ場、数台の車
真ん中は枯れ草ばかり、と思うと違った
人が集まっている、5人ほど
土手を降りる
赤い頬に白髪の爺たち
巨きな和凧を囲む、地面に置いて
お揃いの青いチョッキを着て
ちびはパイプをくゆらし
のっぽは腕を組んで凧を見下ろす
凧の骨は竹を割いて紙縒りで結ぶ
隣町のタローさんが描いた
役者絵は目を剥いている
一尺の糸巻きがカラカラと回り
風が吹いてきた
青い雲が西から扇型に拡がり
草原は朱色に染まる
一斉に西を向いて凧を揚げ
はためく音も遠くなる
腕はめいっぱいに糸を引き
足は柔らかく地面を踏みしめ
顔は紅に輝く
小さい凧たちと大きい和凧
ゆるりとした曲線を描いて糸が並ぶ
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