「叙情文芸」に詩が入選しました

5 3月

宝石箱

 

古い引き出しの奥

目立たないベージュの平たい箱の

蓋を開けたら

亡くなった妻の

首飾り、ブローチ、イヤリングが

入っていた

金木犀の香りにつつまれて

夕べの明かりの中にキラキラと

青白く輝いていた

小さなノートに

出会った時から愛していました、と

書いてくれてから

もう13年経った

転校生だった私が話しかけた時

頬を赤く染めた貴女

2人とも東京に進学して

また出会い、結婚した

貴女が好きだった

ショパンのノクターンを聴くと

30歳の時に一緒に歩いたパリの街角の

眩い明かりを思い出す

首飾りの鎖に沿って指先を滑らすと

貴女の頸を感じ

イヤリングに指の腹を押し付けると

柔らかい耳たぶを思い出す

あたりの暗さに気づいて

シャンデリアを点灯けると

宝石は暖かい輝きに変わった

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