短歌
ツバメの巣 見上げる母は微笑んで
車椅子を掛け直したり
詩
気象台記念公園
お気に入りのベンチに深々と腰掛けて、松の木陰で本を読む
硬い背もたれが背筋を伸ばしてくれる
聞いたことのないメロディが清浄な空気を伝わってくる
サキソフォンとオーボエの練習をするセーラー服の2人が端っこのベンチにケースを置いて、松林に向いて吹いている
イギリス式公園の真ん中の細い道を曲がりながら、若いお母さんが乳母車を押していく。幅の広い青い帽子を被って
芝生一面の黄色い花と、花弁が下に散らかっている真っ赤なツツジの植え込み
ヘルメットを被って、一生懸命に自転車を漕いでいる小さな男の子と行き違う
芝生の濃いところで、ミニチュアダックスフントとトイプードルがご挨拶
スマホを持つお嬢さんが後を追いかける
そこに、白い大きな犬にひきずられて老人がこちらのベンチに向かって歩いてくる
その時、皆が一斉に東の方向に目をやった
向日葵の髪飾りをつけた女の子が泣きながら夕陽の中を西に向かって駆けて行く
丹念に刈り込まれた芝生の上に、木々が落とす長い陰を一つ一つ横切りながら
楽器の音も止み、乳母車も自転車も動かなくなり、スマホを持ったお嬢さんもその場に立ちすくんだ
でも、大丈夫、 公園の出口でお婆ちゃんが背伸びして手を振っている
夕焼けの朱とエネラルド色の雲が放射状に広がり、国際線の飛行機が低い音を出して飛び立って行った
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