第0章から3章までは、初歩的な数学のおさらいと微分幾何学の準備で、第4章の双対アフィン接続あたりから情報幾何学らしくなる。第5章の 確率分布空間の幾何構造がこの教科書の要で、確率空間独特のChentsof埋め込み(*)を要求すると、計量と接続がほぼ一意的に決まることが示される。6章は統計力学への応用。7章の統計的推論への応用で、一意的な計量と接続が作る双対平坦な多様体構造の実用性が提示される。8章は量子情報への試みが述べられている。
定理、定義の説明に「その心」が述べられていて、イメージが湧きやすい良書です。特に相対論の心得のある物理学者には強くお勧めします。
(*)コイン投げで裏表が出る確率が等しい場合と、さいころ投げで偶数と奇数が出る確率分布は区別がつかない。
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