窮理舎の伊崎さんから、藤の実を送っていただきました。藤棚からたくさんぶら下がったのは見たことがあるのですが、間近でみたのは初めてです。
鞘のヒネリが種が遠方に飛ぶポイントであると平田森三の解説に書いてありますが、実物を見て得心しました。多分、このヒネリに微妙な臨界点があり、それが一斉に爆ぜる原因なのだろうと思います。
原文は、青空文庫
https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2339_13490.html
にあります。
寺田寅彦の短い随筆について、寅彦研究者、物理学者、植物学者、文学者4者がそれぞれの角度から読んでいます。最後に寅彦の弟子であり共同研究者でもある平田森三による子供向けの解説を再録し、藤の実が弾ける仕組みを詳細に示してくれます。それが一斉に弾けるところは謎のままです。
その中で高知県立文学館の川島さんが「季語と潮時」の相関を指摘しておられたのを鋭いと感心しました。
藤の実が弾けることは毎年繰り返されます。藤は効率的に子孫を残すために遠くまで種を飛ばすように進化していったはずです。そのためには湿度、温度など多くの条件が最適になった絶妙な瞬間にさやが弾けるようになっていったでしょう。その最適条件を満たす時間は短く、側から見ていると申し合わせてように一斉に弾けるのだろうと思います。
季語も同様で、毎年季節がめぐる中で俳人たちによって選び抜かれていったものなのでしょう。「季語と潮時」の成立にはダーウィン的なものがあると感じます。
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