9月27日から30日まで、地域の絵画サークル「若草会」の展覧会に参加しました。私の作品はすでにウェブにアップした「紫蘭」「薔薇と葡萄」でした。注目した作品は、Sさんの「春の耕作」です。
近所の田んぼの風景で遠景は乗馬クラブです。耕耘機がリアルに書き込まれていますが、Sさんは在職中耕耘機メーカーの技術者だったそうです。オペレータが抽象化されているのと好対照です。
ここに載せた桔梗は田んぼのあぜ道の含羞草の横に置きました。
「抒情文芸」146号に投稿した詩「春」が入選しました。
嬉しいことに選者が好意的なコメントをしてくれ、励みになります。
今まで、短歌部門ではかなりの好成績だったのですが、詩についてはその形式に
模索が続いていました。これで一つに定まりました。
最後の行について、もう少し意外性が欲しいとのコメントについては、「やはり」と思いました。「しみ」を「メアリーポピンズ」とすることも大分考えたのですが、詩全体を総括しかねないので躊躇しておとなしく終えました。気持ちは、金子みすゞの
「見えないけれどあるんだよ」に近いのですが。
春
春の日の 雨上がりの
曇天に 花模様の傘が飛ぶ
勤めに出かける人々の上を
少しばかりの緑の吹き出た木々の上を
傘はしめっぽい風を含んで舞い上がる
そこにいましも郊外電車が
カーブを切りながら
小さな駅のプラットホームに入ってきた
傘は電車の屋根を楽に越え
野菜畑の上で宙返る
小さな女の子が車窓からこれを見ていた
電車が客を乗せて音をたてて動き出すと
傘も姿勢を整えてゆっくりと上昇する
大人達は新聞に夢中で気付いていない
電車が速度をあげ、子供が空を見上げると
傘は高くたかく昇り
空の中のしみのようになってしまった
この詩はだいぶ前の作ではありますが、空想ではなく写実です。ちょうど、昨日今日のような
強風が傘を舞い上げていました。絵の風景は成田線沿線をイメージしたものですが、だいぶ簡単化しています。
電車も実際は15両編成です。