「情報幾何学の基礎」藤原彰夫著を推奨します

23 2月

第0章から3章までは、初歩的な数学のおさらいと微分幾何学の準備で、第4章の双対アフィン接続あたりから情報幾何学らしくなる。第5章の 確率分布空間の幾何構造がこの教科書の要で、確率空間独特のChentsof埋め込み(*)を要求すると、計量と接続がほぼ一意的に決まることが示される。6章は統計力学への応用。7章の統計的推論への応用で、一意的な計量と接続が作る双対平坦な多様体構造の実用性が提示される。8章は量子情報への試みが述べられている。

定理、定義の説明に「その心」が述べられていて、イメージが湧きやすい良書です。特に相対論の心得のある物理学者には強くお勧めします。

(*)コイン投げで裏表が出る確率が等しい場合と、さいころ投げで偶数と奇数が出る確率分布は区別がつかない。

雑誌「現代思想」で量子計算を哲学してみる

28 1月

私は、D.ドイチがその概念を発表して10年後の1995年に量子計算の分野に参入した。P.ショアが素因数分解の量子アルゴリズムを発表して間もなくのことである。その頃、日本で量子情報/計算の第一次ブームが起きた。

 この数年の出来事は第二次ブームというべきで、メンバーも相当入れ替わっている。メディアでも盛んに報じられ、一般の人の間にも関心が高まり、「Googleが何かすごいことをやったらしい」とか、「巨額の国家予算が投じられているそうだ」「仮想通貨は危ない」などと、日常の話題にしている。

 しかし、分かって話をしているわけでもないらしい。そこで、本稿では2節から7節まで、量子計算の簡単な解説をする。一方、専門家は研究のターゲットを絞り込んで先陣競争をしがちである。

こういう時期には、量子計算全体を俯瞰して、それぞれの専門性という縦糸に横串を入れるという意味の「哲学」の意義が出てくる、と考えて第8節をしたためる。2節から7節までをわかっている人は、8節だけを批判的に読んでいただければ、幸いである。

国際宇宙ステーション/我孫子サイエンスカフェ

26 1月

第53回は「国際宇宙ステーションをより深く知る」というタイトルで、JAXAのOBの岩崎信夫さん、長谷川義幸さんと現役の杉浦真弓さんにお話をいただきました。「きぼう」の建設から立ち上げた方々のお話は、日本の宇宙ステーション技術が世界的に高い評価を得るまでの感動のお話でした。若い人たちが宇宙に羽ばたく気持ちを持たれたのではないでしょうか?

当カフェは、聴衆からのリクエストだけではなく提案、企画まで

されるようになり、一段と成熟してきたと思います。

 

放送大学面接授業「若きアインシュタインの考え方」終了

11 1月

細谷エッセイ

昨年11月に上記授業が無事に終了し、今年の正月明けに

21人分のレポートの採点を提出いたしました。

レポート問題は上記に載せました。

講義のタイトルが、文学的だったためか、数式抜きでアインシュタインの考え方を話してくれると期待して受講してくださった方もいらして、正直慌てました。

結局、授業をソフトな話とハードな数式に分割しながら、なんとか満足していただけたかな、と思っています。

レポートと言っても、「序論、本論、結論」の論文形式をとり、

自分の考えも入れる、エッセイを要求しました。

課題の一つについて:

寺田寅彦の文章を参考に、1905年のアインシュタイン論文のアイデアの核心は何であったか述べよ。

 

に対して、

 

光の速度が慣性系によらず一定であることを光の性質ではなく、時空という実在の性質であると喝破したことが核心である。

 

という結論のエッセイがあり、感心しました。

 

 

一年の計は元旦にあり

31 12月

今年は以下の目標を掲げます。

研究

相対論と情報幾何を融合する試み

今年は、情報時空における平行移動を定義することに重点を置きます

教育

量子力学の公理と量子コンピュータ

2月仙台一高同窓会(MM会)での講演

4月町田市でのNHKサイエンスカフェ

10月 放送大学面接授業@渋谷

教科書「量子と情報」の上梓

+6月から8月 地球惑星学科での「統計力学」の授業、

小数体の統計力学二ついて疑問が出てきました

哲学

「物理の数学化」の光と影

寺田寅彦「物理学序説」H.ポアンカレ「科学と仮説」W.ハイゼンベルグ「現代物理学の自然像」M.ハイデッガー「存在と時間」J.C.マックスウェル”Faraday’s Lines of Force”を参考にして、現象論->モデル->数学化の2段階目のモデルの役割を史実に即して分析します。

社会活動

一社)我孫子自然エネルギー(Abiko Green Energy)

二酸化炭素による地球温暖化説に寄りかかることなく、自然と共存していく持続可能な社会へと舵を切る市民運動を、すでに地元に芽生えている環境イノベーションを丹念に拾い上げながら外部資金を獲得しつつ、展開していきます。

我孫子サイエンスカフェ、旗振りおじさん、水彩画、詩作は続けます。

幻の「解析力学」蘇る

18 12月

ようやく「解析力学」の教科書がオンデマンド出版で売り出されました。アマゾンのサイトを見てください。

編集後のPDFも見れます。

https://www.amazon.co.jp/dp/4909624031/

https://www.yamanami.tokyo/analytical_machanics/

「解析力学」内容紹介

学部学生を対象に、解析力学独特の考え方の導入部に神経を使ったつもりである。最小作用を考える動機と起源など初学者が疑問に思うことを、実際に受講した東工大の学生から受けた質問を元に取り上げた。その一方で、類書にないトピックも取り上げた。 例えば、摩擦のある系、ラグランジュの未定係数法の正当化と抗力などである。最後は、量子力学による最小作用の原理の正当化で締めくくった。

国民一人当たりのコーヒーの消費量

13 12月

グラフを見るとルクセンブルグがダントツに一位です。

https://gigazine.net/news/20120726-coffee-consumption/

でも、不思議ですよね。

当たり前ですが、誰も飲んだコーヒーの量など記録していません。

この数字はその国の商店で販売されたコーヒーの量から(税務署が?)割り出したものです。記事https://cafend.net/drink-coffee/

によれば、ルクセンブルグは周辺国に比べて消費税が安いので、近隣諸国の住民がコーヒー豆を買いに来るのだそうです。それを、Domestic Consumptionと勘定してしまったための珍統計だったらしいのです。

このことは、なかなか良い教訓と思います。

私は、GDPなど経済統計の値を疑っています。

新木小学校ふれあい広場に出店しました

26 11月

11月16日(土)は晴れて暑いくらいでした。バザーで「マザーリーフ」を一枚50円で売り、30枚売れました!英語名mother leafで文字どおり、葉っぱで増える植物です。解説はこちら。mother leaf

放送大学面接授業始10月23日

18 10月

「若きアンシュタインの考え方」というタイトルで、1905年の特殊相対性理論に関する論文を、内山龍雄訳(岩波文庫)をテキストにして読みます。

第一回の資料:2019第一回

左:特許局で勤務するアインシュタイン(椅子がない!)

26歳のアインシュタインが、たどった考え方を追いながら、対話型の授業を行います。

 

10月23日(水)14:00から

11月6日(水)13日(水)20日(水)

場所 渋谷学習センター(AP渋谷道玄坂13Fの方です)

“Voyage of the Beagle”(ビーグル号航海記)by C. Darwin 読了

11 10月

ガリレオを引用するまでもなく、科学にはどこか「冒険」の要素がある。それが最近では単なる仕事に化している気がする。

それではまずいということで、ダーウィンが進化論を世に問うはるか前の20代で行った冒険旅行の記録を読んでみる気になった。初々しい感性による美しい英語で書かれた探検記を極上の料理を食べるように味わった。 2018年7月23日から読み始めて、2019年10月12日の読み終わった。

南アメリカをほぼ一周し、タヒチ、ニュージランド、オーストリアを越えて、最後は喜望峰周りで5年経って帰国している。進化論の着想を得たのは、ガラパゴス諸島でのフィンチという小鳥のくちばしの長さが島ごとに違うことだったと、中学の時に教わったが、違うと思う。フォークランド諸島に生息する狼などの動物が人に馴れる度合いが島ごとに違うことに着目し、島に人間が定住した時期との関係を調べて、世代を重ねるごとに人間に安易に近づく性格のものが死に絶え警戒心の強いものが生き残ったと記している。これこそが、自然淘汰の本質と思う。博物学者の記録なのにスケッチが一つもないことが気になった。

「龍雄先生の冒険」でも、内山龍雄先生の人生最大の冒険は一般ゲージ原理 の主張だったと思う。今月末から、放送大学面接授業で「若きアインシュタインの考え方」を講じるが、そこでは26歳の時彼が発表した、特殊相対性理論の「冒険」を話すつもりだ。