物理の基礎的13の法則(丸善出版)を出版しました

23 7月

物理学を一通り勉強したあとで、各科目の導入部がそれぞれどのように完結したか分からずじまいに終わっていることに気づくことがあります。たとえば、量子力学では、プランクの黒体放射からはじまり、いつの間にか電子の話に移行し特殊関数の海に溺れていたりしています。さらに、力学、電磁気学、熱統計力学、量子力学などいろいろな科目の間の関連が判然としない状況に置かれて当惑した人も多いと思います。私は学生時代にはだいぶ努力して勉強したつもりでしたが、同様の状況でした。

やがて教える側になり、知識を順序だてる必要に迫られてから、ようやく物理が分かり始めた気がしました。学生時代には先生にずいぶん質問をした方ですが、肝心なことに達していなかったと反省したこともありました。ただ、この年になってみると、それも致し方なかったと悟るようになりました。物理学は標準的な教科書を勉強して分かるものではなく、自分で一度、再構成してみないと勘所がつかめないし、全体像も分からないものだと思うようになりました。

本書では、物理学における13の法則を選んで、標準的な説明ではなく対話形式で再構成してみました。物理である以上、理論的な整合性、簡潔性が要求されるのは当然として、実証的根拠も常に問われます。それぞれを、香織と春樹という2人の架空の人物に代表して質問してもらい、先生を含めて3人の対話といたしました。お気づきのように、ガリレオと「天文対話」と、さらにはプラトンの「対話篇」を不遜にも意識しております。

申し上げるまでもなく、本書は初学者が物理を学ぶための入門書ではありません。そのような人たちにとっては、対話形式は却って煩わしいだけでしょう。そうではなく、たとえば大学院の入試を終えて余裕のできた人などが読んでくださると、物理の見方について意外な切り口を発見するかもしれません。標準的な教育課程が必ずしも論理的なものでなく、一度述べたことを何回も上書きをしたものであり、一見すると木に竹を接いだように見えることがあります。しかし、再構築してみると割と単純なことであることが分かったりします。別の場合には、理論自体が未完の要素を残っていることが判明します。前者の代表が電磁気学で後者には統計力学と量子力学があたると思います。

このように、独断を居直った我が儘な本を出版してくださる丸善出版の寛大さと、パリティー誌に連載したときに忍耐強くお付き合いくださった査読者の方に深く感謝を申し上げます。

 

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